行政書士 大熊登喜事務所

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行政書士がサポートする終活

ファイル№10 「配偶者居住権の利用の是非①」

 終活とは人生の終わりを迎えるための準備と総括です。
 高齢者となった自分がこれからどのように生きていくのか、自分にはどのような問題があり、問題をどう解決してゆけばよいのかを考え、様々な「自己整理」「問題整理」を行っていくものです。

 終活を個人として考えるのか、家族という枠の中で残していく配偶者や子供達の事も含めて考えるのか、それぞれの立場での終活があると思います。
 今回は配偶者がおり、子供もいるケースで「配偶者居住権」について考えてみましょう。

 令和2年4月1日、新設されていた「残された配偶者の居住権を保護するための方策」が施行されました。夫婦のどちらかあるいは夫婦所有として、どちらかが亡くなるその時まで夫婦で暮らしていた建物が対象となります。

 建物を所有していた夫婦のどちらかが亡くなった時、相続によりその建物は残された配偶者以外の所有になることも共同所有となることもあります。その時に残された配偶者は自分が住み慣れた家でありながら、他の相続人の意向によっては「このまま住み慣れた家で生活を続けたい」という自分の意思と行動が制限されてしまうのです。

 「残された配偶者が相続に関連して住み慣れた家で生活しながら老後の生活資金や預貯金の確保もできるようにしたい」
 そう考えた時に遺言や遺産分割の選択肢として、残された配偶者が無償で、住み慣れた住居に居住することができるようにと新設されたものが「残された配偶者の居住権を保護するための方策」です。「配偶者居住権」とはこの権利をいいます。

 使い方によっては残される配偶者にとり、とてもよいものですが、その権利は相続と登記に深く関わるものです。次回は「配偶者居住権」と相続と登記の係りについて考えます。

バックナンバー

  1. 「はじめに」
  2. 「エンディングノートと2冊のマイファイル」
  3. 「ネームファイル1頁表:戸籍 裏:家族相関図」
  4. 閑話「終活?或る3人の話」
  5. 「ネームファイル1頁:戸籍 裏:家族相関図2」
  6. 「ネームファイル1頁:戸籍 裏:家族相関図3」
  7. 「ネームファイル1頁:戸籍 裏:家族相関図4」
  8. 「ネームファイル1頁:戸籍 裏:家族相関図5」
  9. 「ネームファイル1頁:戸籍 裏:家族相関図6」