行政書士 大熊登喜事務所

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行政書士がサポートする終活

ファイル№12 「終活における不動産整理①」

 内閣府による「令和6年版高齢社会白書」の中で確認すると「65歳以上の高齢者の住居形態」の図において、持家が8割以上賃貸借は2割以下となっています。持家の高齢者の方は持家の管理・生活補助に問題があるでしょうし、賃貸借の高齢者では家賃支払い、退去勧告からの新契約への不安があることでしょう。
 先ずは割合の多い持家を所有している方への終活視点で、所有する不動産をどのように考えてゆけばよいのかを考えてみましょう。
 「持家」と一括りに家やその敷地である土地を言葉にしますが、その「持家」がどのような状態で所有権を保証されているか、ご存知でしょうか。ご自身が購入したマイホームであれば、その土地や建物の状況をよくわかっておられるでしょう。けれど父や祖父から家や土地を相続した場合などは、相続で取得した状況はわかっていても、その土地や建物そのものの状況まではよく理解できていない方がほとんどではないでしょうか?
 個人の所有する不動産は不動産登記法により、「登記」という方法で登記簿に記載され、一般公開されることにより、その権利関係が保証されています。法改正される以前は「登記済権利書」として法務局から所有者に発行されていました。
 今は「登記識別情報通知」というものが「登記済権利書」に代わって法務局から不動産ごとに発行されます。この「登記識別情報通知」には数字・ローマ字を組み合わせた12桁の記号で記載された「登記識別情報」が記載されています。「登記識別情報」は目隠しシールをしたまま発行されますが、渡される時には「シールは剥がさないで保管してください」と説明されます。なぜならばこの「登記識別情報」である12桁の記号を知っていることが不動産の所有の証なので、目隠しシールを剥がして他の誰かに知られると、この12桁の記号を使って悪用される危険性があるからです。次に何らかの不動産取引があるまで、または相続まで目隠しシールを貼ったまま保管することは何等問題がなく、むしろ推奨されています。
 「登記済み権利書」や「登記識別情報通知」などは不動産ごとに発行されますので、多くの不動産を所有する方や一つの宅地として利用しているのに、土地が何筆かに別れている土地を所有する方などは管理することが煩雑になります。
 そこで、先ずは1年に1度市役所から送られてくる「固定資産税課税明細」を確認します。固定資産税課税明細書は土地・建物に分けて所有する不動産が記載されていますので、大まかにはこれで自分の所有する不動産の確認ができます。
 固定資産税課税明細書に記載された不動産の数と自分が所有する「登記済み権利書」もしくは「登記識別情報通知」の数が合致しない場合もあります。その時には「課税標準額」が30万円未満の不動産を所有している可能性があります。固定資産税は課税標準額が30万円以下の土地にはかかりませんので、課税明細書には含まれないのです。
 自分の所有する不動産を確認する一番の手段は、所有土地の所在のある市役所固定資産税課に出向き「土地・家屋名寄兼課税台帳(名寄帳)」の確認をすることです。
 名寄帳とは、個人が所有している不動産を、所有者別で一覧表にまとめた書類のことです。所有者・所在地・面積・固定資産税評価額などが登録されており、所有者の名前ごとに所有不動産が記載され(名寄せ)ている為、名寄帳と呼ばれます。
 不動産を所有している方は、先ず名寄帳でご自身の不動産を確認し、その記載内容と「登記済権利書」或いは「登記識別情報通知」の数との突き合わせ確認をしておきましょう。

バックナンバー

  1. 「はじめに」
  2. 「エンディングノートと2冊のマイファイル」
  3. 「ネームファイル1頁表:戸籍 裏:家族相関図」
  4. 閑話「終活?或る3人の話」
  5. 「ネームファイル1頁:戸籍 裏:家族相関図2」
  6. 「ネームファイル1頁:戸籍 裏:家族相関図3」
  7. 「ネームファイル1頁:戸籍 裏:家族相関図4」
  8. 「ネームファイル1頁:戸籍 裏:家族相関図5」
  9. 「ネームファイル1頁:戸籍 裏:家族相関図6」
  10. 「配偶者居住権の利用の是非①」
  11. 「配偶者居住権の利用の是非②」