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ファイル№7 「ネームファイル1頁:戸籍 裏:家族相関図4」
令和2年7月10日より各法務局で遺言者が作成した自筆遺言書を保管する「自筆証書遺言書保管制度」が開始されました。
遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。大まかな説明をすると、以下のようになります。
・自筆証書遺言
遺言者が遺言書本文を自分で記述して作成して、自分で保管する
・公正証書遺言
公証役場で公証人に作成してもらい、公証役場で保管する
・秘密証書遺言
遺言者が作成した遺言書を公証役場にも内容を開示せず、公証役場で遺言書が存在するという認証だけを受けて、自身で保管する
遺言に関して相談に来られるお客様には、この3種類の中の遺言の中でお勧めしていたのは「公正証書遺言」です。なぜかと言うと、自筆証書遺言は自分で作成するため、遺言として認められない書式上の不備が起こりやすいことや、自宅管理であるための紛失等が起こりやすいこと、紛失はなくとも発見者による隠匿の可能性もあること、そして家庭裁判所による「検認」という手続きを経てからでないと遺言書を確認することができないという制約があることからです。「公正証書遺言」ならば自分の意思を遺言と言う書式で記述するのは「公証人」がしてくれますし、保管もしてくれます。その上裁判所の「検認」という手続きも不要です。遺言を確実に残すためには最適です。ただ、これには費用と証人が2名必要になります。証人2名を選出できない場合は公証役場を介してその選出をお願いするようになりますが、これにも費用がかかります。
遺言を残すためにはお金のかからない「自筆証書遺言」かお金のかかる「公正証書遺言」かの選択をする必要がありました。
ところが、「自筆証書遺言書保管制度」が開始され、不備が起こりやすい「自筆証書遺言」を1件3,900円の費用で書式チェックも受けられ、原本及びデーターとして保管管理されるようになりました。裁判所の「検認」手続きも不要です。
その上に「通知」という相続人にとってとてもありがたい機能が付与されています。
「公正証書遺言」の信用性は大きいものですが、遺言者がその存在を相続人等に伝えていなければ、相続人等から公証役場に遺言書があるかどうかの確認をせねばなりません。ところが、「自筆証書遺言書保管制度」を利用すれば保管先の法務局から相続人等に遺言書がありますと通知してくれるのです。
次回は「自筆証書遺言書保管制度」の通知に関してもう少し触れます。